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ビオディナミックワインはグラスの中の宇宙?!

ビオディナミ農法ってよく聞くけどどんな農法? ビオディナミ農法(バイオダイナミック農法とも呼ばれる。イタリア語ではBIODINAMICO)とは、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーにより1924年に提唱された農法で […]

2019.07.21 22:01コラムビオディナミ農法

ビオディナミ農法ってよく聞くけどどんな農法?

ビオディナミ農法(バイオダイナミック農法とも呼ばれる。イタリア語ではBIODINAMICO)とは、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーにより1924年に提唱された農法です。

農地を単体ではなく宇宙の中の一つの生命体ととらえ、宇宙の営みの影響を受けるとして太陰暦に基づいて「根の日」「葉の日」「花の日」「実の日」の中から最適な日を選んで農作業を行ったり、雌牛の角に牛糞や鉱物の粉末を詰めて土の中で寝かせた調剤を希釈して散布するなどのホリスティックなアプローチによって土壌の力を最大限に活かし、ブドウの免疫力を高める農法です。

人間でいえば、病気になってから対処療法で治療するのではなく、病気になりにくい免疫力のある身体つくりを目指します。

ビオディナミ農法の認証機関としてドイツのDemeterなど有名です。オレンジと白と緑のロゴをご覧になった方も多いのではないでしょうか。

まるで魔術みたいな調剤

代表的な調剤の一つに土壌の活性化を目的とするプレパラシオン500があります。

これは雌牛の角に牛糞を入れて秋分に土に埋めて春分以降に掘り起こされ希釈して畑に散布するものです。

実際にローマ郊外のビオディナミコ農法のワイナリーで掘り起こされた牛糞と使用済み後の角の匂いを嗅いだことがありますが、全く臭くありませんでした。

昔は希釈後、手で(!)かき混ぜていたそうですが、現代では専用の撹拌機を使用するケースが大半です。

この撹拌機は最初時計回りで回転した後、反対方向に向きを変えます。

この渦の形がカオス状態を生み出し、無限大∞を描くことで調剤の活力が強化されると考えられています。

実に色々な決まりごとがあり、例を挙げると、牛の角は牡牛ではなく必ず雌牛の角が用いられます。これは雌牛が肥沃を意味し繁殖力を高めるとの考えに基づいています。

また希釈濃度は濃すぎても散布後の寄生虫がわく原因となるので波動を感じるレベルで十分であり、1つの角分で1ヘクタール分をカバーすることができます。

この他、代表的な調剤として光合成を促進することを目的とした水晶の粉末を雌牛の角に入れて土中に埋めた後掘り起こして散布するプレパラシオン501があります。

また土地の浄化のためにカミツレ草、ノコギリ草、タンポポなどの薬草を用いた煎じ液が補足的に使われます。

人間でいうと化学的な薬品ではなくハーブティーやアロマオイルなどで症状を和らげるアロマテラピー的な要素があるといえるでしょう。

ビオディナミの伝道師 ニコラ・ジョリー

フランス ロワール地方で世界5大白ワインの造り手として世界中から注目されている クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン(CLOS DE LA COULÉE DE SERRANT)のオーナー兼栽培醸造家ニコラ・ジョリー(NICOLAS JOLY)は現代ビオディナミ農法を語る上で欠かすことのできない人物です。

NYのウォールストリートでの銀行家としてのキャリアを捨て、両親のブドウ畑を引き継いだ当初は化学肥料支持者でしたが、「ぶどうの樹がワインを造る」という信念のもと研究を重ね、ビオディナミの伝道師として実践や他ワイナリーへの指導も行っています。

その活動はフランス国内にとどまらず、イタリアにまでおよび、LAZIO州のワイナリーMARCOCARPINETIではニコラジョリーによるビオディナミコのセミナーが行われ、これをきっかけにビオディナミ農法を採用するワイナリーが増え、イタリア中部のワイナリーにも多大な影響を与えました。

彼の著書 『ワイン天から地まで―生力学によるワイン醸造栽培 』 にビオディナミ農法の本質を表す言葉があります。

「良質はワインを造るのに、今日のような見事なメーキャップをする必要が本当にあるのでしょうか? ― 中略 ― 栽培者がワインを造る場所は、醸造室ではなくブドウ畑です」

人間もブドウも自然が一番?!

ビオディナミ農法では上記のように魔術的ともいえる手法を用いるので、非科学的であるという批判があるのも事実です。

しかし私は1年半イタリアに住んでみて、ハーブや自然由来の成分の製品が想像以上にイタリア人の日常生活に溶け込んでいることに気づきました。

イタリアにはFARMACIAといういわゆる薬局の他にERBORISTERIAというハーブ薬局が同じくらいの数だけあり、各自が行きつけのERBORISTERIAに行き、症状に合わせたハーブを調合してもらっています。

ですから、一見突飛に思われるビオディナミの農法もイタリアをはじめとするヨーロッパの人々にとっては先人たちの知恵の蓄積であり、ごく自然に受けとめやすいものなのでしょう。

今度ビオディナミワインを飲むときは、ワインの向こう側にある哲学にまで思いをはせながら味わってみてはいかがでしょうか。

ビオディナミワインを飲むなら、、、

TAVEL ROSÉ

鮮やかなピンクの色味が美しい伝統的なタヴェルのロゼ。
タヴェル独特の土壌からビオディナミ農法で造られた葡萄を、品質維持のために夜に収穫し、醸造している。
力強さと丸みのあるバランス良いワイン。

LIRAC BLANC

明るいゴールドの色合い、柔らかく華やかな白い花のような香り、フルーティーだが力強さのある余韻の長い味わい。
リラックの特徴的が良く表れているワイン。

Biodynamic Wineについて
https://liber.vin/products/biodynamic-wine/


Writer

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  • MINA_VINO

     外資系金融に長年勤務するも、イタリアワインが好き過ぎて2017年4月よりローマ近郊のビオロジコ、ビオディナミコのワイナリーにてブランドアンバサダーとしてPRや翻訳をするかたわら 1年半の滞在中イタリア中を旅して自然派ワインイベントに出没し、イタリア全州のワイナリーにネットワークを有する  ちょっとマニアックにイタリアのワイン、人、文化の魅力をリポートします!

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